IMPOV::In My Point Of View

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「誘われる転職」は恋愛に似ている

 

 

昨年の秋、仕事上の知り合いから彼自身の転職について相談された。

彼には結婚を考えている彼女がいるのだが、現在の収入では所帯を構えることが難しいというのだ。彼は思い悩んだ末、社長へ待遇改善の要望を出したのだが期待する回答は返ってこなかったそうだ。そこで転職をしようと考え始めたわけだ。

もっとも、給与をもらう方と支払う方で「成果に対する評価額」が大幅に食い違うことは、なにも珍しい話ではない。第三者評価が自己評価よりも低めに見積もられることは普通のことだ。

多少なりとも彼の勤める会社や社長のことも知っている私としては、彼をなだめるべきだったのかもしれないが、ついつい「とりあえず転職紹介サイトに登録して、何社か面接してみれば?」と言ってしまった。

転職は人とのつながり

私の周りには転職経験者が多い。自分も3回の転職と2回の起業を経験している。最初に勤めた上場企業でこそ同僚や先輩に転職組はいなかったが、その後の職場や仕事で出会った人々は圧倒的に転職経験者が多い。

知り合って間もない時期に相手の経歴を聞いてみるというのは、相手の好意を得るのになかなか都合が良い。たいていの人は自分のことを話したがるものだし、それを真剣に聞いてもらえるととても喜ぶからだ。

こうして出会ってきた転職経験者の多くは『経営者や上席から請われて』転職をしてきていた。かくいう私も、それぞれ働いた会社から誘われて転職をしてきたクチだ。

これは私の世代に特徴的な状況なのかもしれないし、今いる業界がそういう業界だからかもしれない。そして私の周囲がそういう状況であったから、実は「自分から求職して今よりも良い条件を手にする」という事がうまく想像できないのだ。

だからといって、転職は、受け身になって誘われるまでじっと待っているのが正解だと考えているわけではない。

誘われる転職のメリット

私が幸運だったのは、「自分もこんな生き方をしたい」とか「いつかこの人のように仕事ができるようになりたい」、「この人と一緒に働きたい」と思わせてくれる人たちに多く出会えたことだ。ある時、そのうちの一人から「うちの会社に来ないか?」と誘われたのだ。

「この人と一緒に働きたい」と憧れていた人から、当時の自分にとっては破格の条件で誘われたので大喜びしたものだ。一方、その時勤めていた会社も居心地がとても良かったので決断にはそれなりに時間が掛かった。

私は当時からたいして優秀な社員ではないのだが、おそらく「憧れの人」の前では彼に好かれたい一心で普段以上の力を発揮していたのだろう。結局この誘いを受諾し自分の最初の転職経験となったのだが、その後の転職もほぼ似たような流れを踏んでいる。

「誘われる転職」のメリットは、どうやら転職前から発揮される。

「憧れの人」に良く思われたいと感じることで、意図せず「良い仕事」ができてしまう。「好かれたいという思い」にはどうやら隠れた力を発揮させる効果があるようだ。私は、当時の勤め先では「ムラがある奴」という評価だった。相手との相性の良し悪しで頑張り方が変わるので当然だ。しかし、安定的ではないもののそこそこの成果が出るため、社内に居場所を確保することができていた。

そして相手から誘われたことで、条件交渉が非常に有利に進んだのも事実だ。

結果として「残るも天国、去るも天国」という状況を作れたため、転職リスクが極めて低かった。

環境を変えることによるリスクとチャンス

転職の相談をしてきた彼は、役職員数が10人余の小規模な会社に勤務している。中堅大学を中退後、派遣社員を数年経験した後いわゆるフリーターになった。今の会社へはアルバイトとして顔を出すようになり、当時の社員たちに気に入られ『誘われて』正社員となった。

彼は現在の仕事にやりがいを感じているし、ここのところ安定して実績と成果を積み上げてきている。社長からも大きく期待されていることは間違いない。しかし傍目には、今の会社の給与水準や安定性は、同業他社と比較してお世辞にも良いとはいえない。

相談を受けた際、正直なところ「うちで一緒にやるかい?」と言いたかったのだが、零細企業である私の会社では経済的に彼に満足してもらえる条件を提示できない。とっさに転職サイトへの登録を薦めてしまった。

彼ぐらいの能力と実績があれば現在よりも良い環境に移ることは難しいことではないと思ってはいたものの、その後どうなったのかそれなりに心配していた。

先日、彼と飲んだ際に進展があったのかどうか聞いたところ、昨年末に転職サイトへ登録し既に面接オファーが何件かあったそうだ。しかも、そのうちの2社とは複数回の面談をしているとのことだった。

彼によれば「思っていたよりも良い条件を匂わすんですよ!」ということで、「自分自身の市場価値が予想していたよりも高いことに気づいた」らしい。

転職には、間違いなくチャンスとリスクが同居している。

近い将来、彼が転職することを選択したとして、今と同じかより良い仕事環境と人間関係を新しい職場で彼自身が作れるかどうかは、実際にやってみなければわからない。

「誘われる転職」であれば間違いなくリスクは減るはずなのだが、それが叶わなければ致し方ない。彼のように能動的に攻めるしかない。